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当院の医療機器安全管理室は令和元年6月に発足したばかりの新しい部署で、現在3名の臨床工学技士が所属し、急性期医療に従
事しています。
当室は日々高度化する医療機器に対応し、安全かつ効率的に運用できるようにチーム医療の一員として臨床技術の提供を行ってい
ます。また、勉強会や研修会を開催し、医療機器に関する臨床支援も行っています。
医療機器安全管理室の特徴は医療機器の管理だけでなく、臨床技術分野【血液浄化療法業務、緩和治療業務、虚血性心疾患治療業
務、不整脈治療業務、呼吸療法業務、手術室業務、医療機器管理業務、在宅医療機器管理業務】に加え、医療情報分野など多岐にわ
たる分野に関わっており、1つの分野に固定されることなくジェネラリストを基本として、各分野のスペシャリストを目指すように
取り組んでいます。
透析室を有しない当院では病棟を中心に敗血症・腎不全・急性腎障害・心不全の方に
多用途血液浄化装置(ACH-Σ)の操作を行い、急性血液浄化療法を行っています。
また、アフェレーシスではエンドトキシン・薬物・LDL-Cなどの吸着式血液浄化療法
にも対応しています。
緩和治療領域においては、CART(腹水濾過再静注法)を消化器外科医・看護師と連携し、腹水を短時間で大量に処理出来る事をメリットとしたKM-CARTを中心に行っています。
九州でも数少ないCART研究会認定施設であり長崎では唯一の認定施設であるため、腹水治療を受けている方への安全な医療を提供しています。
急性心筋梗塞・虚血性心疾患に対する心臓カテーテル施行時のIABP装置操作・管理を行っています。
また、緊急性のある徐脈症例には一次ペーシングのための体外式ペースメーカー導入にも対応し、安全な心臓カテール検査が施行出来るように、臨床技術提供を行っています。
ペースメーカー植込み前・後の機器の操作を行っています。また、ペースメーカー外来でのフォローアップを行い、不整脈の状態や機器の作動状況を定期的に管理しています。遠隔モニタリングでの管理にも対応しており、定期的な外来以外でも機器の作動に問題が発生した場合には、対応出来る体制を取っています。
搬送用人工呼吸器・除細動器の保守点検を中心として業務を行っています。院内急変時・院外緊急搬送時には人工呼吸器・補助循環装置・体外式経皮ペーシングの操作や移送を行うだけでなく、気管支鏡の準備や介助も行い救急医療に携わっています。
麻酔器の保守点検を中心に手術室業務に従事しています。麻酔器以外でも腹腔鏡下手術装置・電気メス・止血圧迫装置・生体情報モニタ等の手術で必要となる医療機器の保守点検を行い、手術が安全に施行出来るように努めています。
また、術中の機器トラブルや緊急のペースメーカーのEMIにも対応し、手術が中断することなく安全に施行できるように努めています。
病棟で呼吸器治療を受けている方々に対する人工呼吸管理を行っています。人工呼吸器の作動状況の確認だけでなく、動脈血ラインからの採血を行い、肺でのガス交換が適切かどうかも確認しています。
また、病棟で人工呼吸器装着中の方達がリハビリテーションを受ける際には、PT・OTと共に介入し、呼吸機能の計測や肺の呼吸聴診を行い、必要であれば喀痰吸引を施行し、気道の清浄化や呼吸機能の評価等のサポートも行っています。
生命維持管理装置を中心に輸液ポンプ・シリンジポンプ・経腸栄養ポンプの購入から廃棄までを一括で担う中央管理を行っています。医療安全の観点から機器点検のみだけでなく、稼働率・故障率を抽出し、適正配置台数の見直しなど、院内医療機器の安全管理に努めています。
他職種が医療機器を安全に使用・操作出来るよう院内マニュアルに基づいて院内研修会を行っており、研修会の依頼にも随時対応しています。
また、新規医療機器の導入の際には、関係部署へ勉強会を実施し、医療機器に対するスキルアップやバックアップのサポートも行っています。
CPAP・HOT・在宅用人工呼吸器・在宅用ハイフローセラピーの呼吸療法分野と植込み型心電計、植込み型心臓ペースメーカー等の循環器分野の遠隔モニタリングを行っています。異常が発見された場合には医師・コメディカルと連携し、在宅治療を受けている方が安全に療養出来るように、チーム医療の一環を担っています。
現在、当室では日々の機器点検状況・使用状況をクラウド管理し、情報の電子化を推進しています。
また当室内以外の取り組みとしては、生命維持管理装置における多職種管理システムを作成し、電子カルテへの完全移行を行い、多職種連携システムの構築も行っております。
今後は医療機器操作マニュアル等を電子化し、電子カルテやスマートフォンを用いて職種問わずに、気軽に閲覧・共有が出来る事を目標に掲げています。
輸液ポンプ | 70台 | 除細動器 | 5台 |
シリンジポンプ | 17台 | AED | 7台 |
PCAポンプ | 5台 | 麻酔器 | 3台 |
経腸栄養ポンプ | 3台 | セントラルモニター | 7台 |
深部静脈血栓予防装置 | 9台 | ベッドサイドモニター | 17台 |
低圧持続吸引器 | 4台 | 超音波診断装置 | 7台 |
人工呼吸器 | 8台 | 内視鏡装置 | 4台 |
大動脈バルーンパンピング | 1台 | 軟性内視鏡 | 11台 |
多用途血液処理用装置 | 1台 | 電気メス | 4台 |
HOT | 59台 | ICM | 1台 |
CPAP | 45台 | 心臓ペースメーカー | 131台 |
NPPV | 7台 | ICD / CRT-D | 5台 |
2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | |
HOT | 14件 | 20件 | 55件 |
CPAP | 11 | 24件 | 37件 |
在宅用人工呼吸器 | 5件 | 4件 | 7件 |
2020年以降、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、在宅医療への関心が高まり、在宅医療機器導入件数が増加傾向にあります。
現在、全国の医療機関でCEが院内の医療機器から、院外の在宅医療機器まで幅広く機器管理を行う事が主流となっています。入院中のみに限らず、退院後ご自宅でも安心して医療機器を使用できるよう努めています。
2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | |
人工呼吸器平均稼働台数 | 1.5台 | 2台 | 3.5台 |
マスク式人工呼吸器(NPPV) | 6件 | 4件 | 15件 |
ネーザルハイフローセラピー(NHFT) | 1件 | - | 5件 |
急性血液浄化(CHDF) | 35件 | 15件 | 47件 |
エンドトキシン吸着(PMX) | 7件 | 2件 | 3年 |
腹水濾過濃縮再静注法(KM-CART) | 23件 | 27件 | 19件 |
心臓ペースメーカー手術 | 25件 | 25件 | 33件 |
大動脈バルーンパンピング(IABP) | 3件 | 4件 | 5件 |
他院搬送(生命維持管理患者) | 2件 | 1件 | 3件 |